不動産取引と印鑑証明をシンプルに解説
2017/03/26
不動産の売買・贈与をするとき「その土地の所有権が変わった」ということを明記する「登記」という手続きをします。
土地に関する登記のことを「不動産登記」といいます。
不動産登記をするときには、印鑑証明(3ヵ月以内)を提出するよう法令で定められています。
なぜ不動産登記が必要なのか、不動産登記になぜ印鑑証明が必要なのかを解説します。
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なぜ不動産登記が必要なのか?
不動産は大切な財産です。
- 自分の土地に他人が家を建てて住んでいた
- 自分の土地や建物が知らない間に売られていた
- 土地の所有権をめぐって争いになる
などということを防ぐため、不動産の所有者が変わったときに国の機関である法務局に届け出て記録します。
不動産登記をすると、その不動産について登記をしている人が本物の権利者として主張することができます(民法177条)。
また、不動産登記をすることにより、不動産の権利関係が公示され、不動産取引の安全性や権利関係の安定化に重要な役割を果たします。
不動産登記の内容
- 土地の所在・番号・面積
- 誰が所有者かという所有権
- 土地の所有者の住所・氏名
- 土地を担保にして金融機関から融資を受けた場合の抵当権
なぜ印鑑証明が必要なのか?
不動産登記をするときに、法務局の登記官が以下のことを確認するために印鑑証明を添付する必要があります。
- 申請人が本人であること
- 登記事項証明書・住民票の住所・氏名の照合
- 登記を申請する意思があること
- 申請書等に押印された印が真正な印であること
印鑑証明を添付することにより、虚偽の登記を防止することができます。
また、提出する印鑑証明は3カ月以内のものと不動産登記令16条で定められています。
不動産登記に印鑑証明は何枚必要になるのか?
印鑑証明の枚数は、その不動産に関わる立場や条件によって異なります。
- 不動産を売る人・・・1枚
- 不動産を(ローンなしで)買う人・・・不要
- 不動産を(ローンありで)買う人・・・4~5通
- 不動産をあげる人・・・1枚
- 不動産をもらう人・・・不要
なぜ印鑑証明が必要・不要になったりするのか?
一般的に法務局などの役所では、不利益を受ける可能性のある人に実印を押印し、印鑑証明を添付するよう要求します。
したがって、不動産を売る人やあげる人は、所有していた不動産の所有権が他人に移り、不利益を受ける立場なので印鑑証明を提出する必要があります。
一方で、不動産を買う人やもらう人は不動産の所有権を手に入れ、利益を受ける立場にあるので印鑑証明を提出する必要はありません。
不動産をローンで買う人は、購入した不動産を担保に金融機関でお金を借りるので「抵当権設定登記」をします。
このとき、不動産をローンで買う人は、万が一ローンの支払が滞ったとき、購入した不動産を失うかもしれない不利益を受ける立場になるので印鑑証明の提出が必要になります。
ローンで不動産を購入するときに必要になる印鑑証明の枚数は、一般的に銀行用に2~3通、抵当権設定用に1通必要です。
ただし、権利証(登記識別情報)を紛失している場合などケースに応じて通数が増える場合があります。
また、取り扱い金融機関などにより必要となる印鑑証明の通数は異なります。